神奈川県、次世代型太陽電池の実証事業5件を採択

神奈川県は、フィルム型のペロブスカイト太陽電池やカルコパイライト太陽電池といった、軽量で柔軟性のある次世代型太陽電池の早期普及に向けた実証事業に取り組む。7月18日、県内各地で実施する実証事業5件を採択したと発表した。各実証事業は、準備が整い次第、9月下旬ごろから順次開始する予定。

 神奈川中央交通(代表申請者)は、平塚営業所管内の路線バスの屋根にカルコパイライト太陽電池(CIS太陽電池)を設置する。車両は5台で、1台に出力160Wのパネを2枚、2台に160Wパネルを3枚、2台に160Wパネルを4枚設置する。発電した電力は、蓄電池に充電しエアコンなどの電力消費の補助に活用する。参加企業は豊田通商とPXP。

 日産自動車は、日産神奈川販売R1東戸塚店の窓に円柱にカルコパイライト太陽電池を設置する。窓上部の120Wのパネル・8枚で発電した電力は自動販売機の補助、窓下部の120Wパネル・1枚はスマートフォン充電、円柱の160Wパネル・1枚は店内ディスプレイに活用する。参加企業は日産神奈川販売とPXP。

 PXPは、相模原市イノベーション創出促進拠点「FUN+TECH LABO」にカルコパイライト太陽電池を設置する。設置場所は壁面に50Wパネルを8枚、室内空間に50Wパネルを8枚、建屋屋根壁面に50Wパネルを4枚、庭に50Wパネルを24枚となる。発電した電力は、街灯、防犯カメラ、屋内家電電力の補助に利用する。また、FUN+TECH LABOの窓や神奈川県庁の渡り廊下に可搬型シースルータイプの120Wパネルを6枚設置し、訪れる県民に次世代太陽電池を周知する機会を提供する。参加企業・自治体は日揮、東海旅客鉄道(JR東海)、相模原市。

 ベイサンは、神奈川県総合防災センターなどの防災テントにペロブスカイト太陽電池9枚から構成される折り畳み型モジュール27Wを2セット設置する。防災時などに蓄電池への充電やテント内照明の点灯などに活用する。参加企業はペクセル・テクノロジーズ、アキレス。

 マクニカは、箱根湯本駅と早雲山駅にペロブスカイト太陽電池を設置する。箱根湯本駅は改札横に20cm×100cmのモジュール1枚(出力見込み20W)でNゲージ(模型電車)を稼働することで、次世代太陽電池を周知する。早雲山駅は窓に20cm×100cmモジュール8枚(出力見込み80〜200W)を設置し、蓄電池への充電や電球の点灯に活用する。参加企業は小田急箱根。

 また県は、次世代型太陽電池の需要創出・早期普及に向けてオール神奈川で取り組むことを目的に、企業・大学・自治体・金融・団体・県民などが参画する「かながわ脱炭素推進会議」の下、新たに「次世代型太陽電池普及プロジェクト」を立ち上げる。

 同プロジェクトでは、学識経験者、電池開発メーカー、設置規模の企業・銀行・自治体など関係する約40者が集まり、実証事業などを活用するとともに、倉庫屋根などへの設置を見据えた具体的なケーススタディなども実施する。7月30日に第1回プロジェクト会議を開催する。