太陽電池ベンチャーのPXP(神奈川県相模原市)とサントリーホールディングスは7月24日、カルコパイライト(CIS化合物型)太陽電池で稼働する自動販売機の実証実験を開始すると発表した。相模原市から実証用地の提供を受け、7月から1年間、相模原麻溝公園にカルコパイライト太陽光パネルを搭載した自動販売機を設置する。
PXPのカルコパイライト太陽電池は、フィルム型のため軽量で曲げられるうえ、屋外耐久性や耐衝撃性に優れるといった特徴がある。こうした利点を生かし、自動販売機にカルコパイライト太陽光パネルを追加設備なく直接設置した。一般的なガラス基板型の結晶シリコン型太陽光パネルを自動販売機に設置するには、重いためにに架台や屋根などの設備が必要となり、設置場所や1台あたりの設置数に制約があった。
実証実験では、自動販売機の両側面・背面・上面の4面、合計面積約5m2に出力700Wのカルコパイライト太陽光パネルを搭載した。本体は背面が真南を向くよう設置し、1日あたりの発電量は約1.6kWhの見込み。夜間を含む24時間の電力の6割程度を賄え、日中の晴天時は100%太陽光で稼働できる。
このほか、補助電源として蓄電池を搭載する。余剰発電分を充電し、夜間電力の一部に使用する。また、夜間電力の不足分と悪天候時の電力として、系統電力を補助的に使用する。
自動販売機の稼働におけるカルコパイライト太陽電池の実用性や電力供給能力を検証する予定。将来的には、これまで自動販売機が設置できなかった電源のない場所への設置や、災害時の電源としての利用などを目指す。また、実証結果を踏まえ、工場や建物など自動販売機以外での活用先の拡大も検討していく。